地政学リスクの指標 GPR Index の自動算出
このまえニューラルネットで算出したGPRについて、より詳しいドキュメントとしてこのページをアップロードしたい。
前回はこちら
まずGPRのソースについて
この論文(https://www2.bc.edu/matteo-iacoviello/gpr_files/GPR_PAPER.pdf )はアメリカ合衆国連邦準備制度から研究結果として出されている。題を訳して「地政学リスクを算出する」である。Dario Caldara、 Matteo Iacoviello 両氏は主要メディアからカウントできる地政学的単語(分類として 紛争・テロ・核リスク他8種類が挙がっている)からGPRを形式的に算出できるとしている。この値は実際に石油市場価格・株価と強い相関がある。
指標GPRの現在の使用状況について
GPRは段々と認知されてきたようで、
この論文ではGPRを用いて具体的なインデックス価格への地政学的事象によるインパクトを予想する式が導出されている。(https://mpra.ub.uni-muenchen.de/59760/1/MPRA_paper_59760.pdf)後ほど内容を紹介する予定・・・
「地政学リスク」という単語が紙面に踊るだけで中身がないのが現状である。しかしこの指標GPRが重要なインデックスとして認知され、地政学リスクは数値化されるのが当然という状況が来るかもしれない。
ニューラルネットでの算出の意義について
GPRは上述の通り、地政学的イベント発生→メディアでの反応→連邦準備制度による数値確定 という段階を踏む。これを瞬時に少ない誤差で数値を算出すると、リアルタイムで地政学リスク=GPRを発表できる。これは、投資判断からニュースの序列決めまで幅広く応用できる。
我々のシステムの問題点
両氏の論文に添付されたデータセットでは月ごとのGPRが発表されている。我々のシステムでは、月ごとのニュースとGPRを教師データ・セットとしているが、これは一つのニュースのGPRとしては不適切である。そして、ニュースの背景にあるべき多くのコーパスを捨象している。
よって次のようなアップグレードが望ましい
リンク構造つき文書データの埋め込みはグラフコンボリューションによって行うことを試そうと考えている。これはつい先日、有向グラフをニューラルネットに入力する手段があるというタイムリーな情報がきたので、幸運だとしか言いようがない。
有向グラフ×ニューラルネットが成功しない場合、Doc2Vecを用いて背景コーパス情報を内包しようと考えている。
GPRの使用は今後広がってゆくと考えられる。地政学関係者が機会を逃さないようにこちらのシステム,geomerlin.com で支援したいと考える。